劣等感の強い人でも克服は可能
自信が持てなかったり、強いコンプレックスがあると劣等感が強くなってしまいがちです。ただし、それに悩んでいたとしても、克服するのは十分に可能なので安心してください。ただ、その方法を知らなかったから解決できなかっただけです。
実は劣等感は正常な感覚で、程度の差はあるにしても誰しも持っています。問題なのは、あまりにも強くなってしまうと様々な局面で嫌な思いをしたり、現実的に損をすることになってしまう点です。
たとえば恋愛の面で劣等感が強い人は、気になる人がいたとしても告白やアプローチをためらってしまいがちです。そうしている間に時間が流れ、チャンスを失ってしまいます。その積み重ねによって、人生を通してこうむる損失は計り知れません。
実際のところ、私もかつては劣等感の塊のような人間でした。しかし、様々なアドバイスを受けたり、本を読んだりして自分を変えようとした結果、それなりに自信や自尊心を取り戻すことができました。その方法をお伝えしたいと思います。
劣等感の塊からの脱却
人間関係が苦手であったことをはじめとして、人に誇れるほどの特技がなかったために、気付いたら劣等感の強い人間になっていました。できるだけ目立ちたくはない、プレッシャーのかかる立場には追いやられたくないと思いながら学生時代を過ごしたので、当時はとても消極的でした。
学生の頃はそれでかまわないとしても、さすがに社会に出れば困ることは明白だったので、就職にあたって改善しなくてはならないと思い始めたものの、すでに劣等感の塊のような状態だったので、色々なものがまとわりついて、どこからほどき始めればよいか分からない状態でした。
差し当たっての問題としては、就職するために障害となるコンプレックスをクリアすることです。そこで考えたのは、劣等感の中でもコミュニケーションと仕事のスキルに関する部分に焦点を当てて克服を計ることにしました。
就職前に仕事のスキルを高めるには限界があったので、とりあえず資格を取ることにして、日商簿記の3級を取得しました。思いのほか簡単だったので、こちらはスムーズにいきました(他の学生と差を付けるのに十分だったわけではありません)。
コミュニケーションの能力を全体的に高めるのは不可能だと思い、面接に特化することにしました。雑談をうまく行ったり、人を引っ張ることには劣等感があったので、それは脇に置いておいたのです。結果的にこの方針が功を奏したらしく、ある程度質問内容が予測でき、固い受け答えだけで済む面接については人並みにこなせるようになりました。
無事に内定が決まり、この実績が劣等感の塊から抜け出す第一歩となりました。少なくても、この会社の面接官は自分を必要な人材と評価してくれたと思うと、自分が無能な人間ではないと思えてきたのです。他者から必要とされることは、コンプレックスを克服するための重要な要素です。
社会に出れば多くの壁にぶつかるので、時には挫折したり自信を失ったりしながらも、どうにか仕事を覚えて戦力になっていけたこと、学生時代のようにフレンドリーな人付き合いが求められなくなり、人と打ち解けるのが苦手な性格を礼儀正さと周囲に誤解してもらえたこともあり、徐々に劣等感は克服していけました。
私の場合には、学生生活に不向きであったことが劣等感の原因の一つだったのかもしれません。環境が変わったことによって、周りの反応も違ってくるため、新しい環境に飛び込んでみるのも、解決策の一つです。
劣等感が原動力になる
現状に満足しているのであれば、無理に努力せずに納得してしまいます。これに対し、コンプレックスは時として大きな原動力となって、行動の理由になります。
たとえば恋愛における劣等感を克服しようと思えば、結果を出すしかありません。そのための努力によって得られた経験は、それ以降にも使える引き出しとなります。さらに、そこで自信を得たことが原動力となって、自分の無力感を払拭する喜びに目覚めて前向きになることもできるのです。
過剰な劣等感は行動をためらう原因になるのに対し、向上心と上手に組み合わせることさえ出来れば強力な原動力にもなるので、必ずしもマイナスに作用するとは限りません。ただし、その時には克服に向けての強い意思が求められます。
また、むやみに優越感に浸っている人に比べると、劣等感を持っているぐらいの方が慎重に行動や計画する傾向があります。自分を過信しないからこそ、油断せずに済むのです。
劣等感が意味のない緊張を生んでしまう
残念ながら、劣等感がまったく無害であるかと問われれば、やはり時には害があると応えざるをえません。自分のコンプレックスとされる面をさらけ出さなくてはならない場面からは逃げ出したくなるため、どうしてもプラス思考で積極的に挑戦するのは難しくなります。
例を挙げれば、運動音痴で人に笑われるのが怖いと、どうしても人前でスポーツをすることに抵抗が出ます。そのことによって運動をする機会が減少し、能力を向上させるチャンスを失ってしまいます。劣等感が成長を妨げることで、コンプレックスが雪だるま式にふくらんでいくことになりかねないのです。
人と話す時にも、特に合理的な理由や意味がない緊張をもたらしてしまい、コミュニケーション能力を下げてしまうことがあります。それを笑われたり、ネタにされてしまうと劣等感がいっそう強くなってしまい、ますます心を閉ざしてしまうこともあります。
短所は誰にでもあるので、それを前向きに受け止められるのか、それとも深みにはまってしまうのかは、その人の対処法や気持ちにかかっています。ぜひ、上手に対応して前向きな気持ちを獲得してください。