根気強い人の共通点とは
何にでもすぐに飽きてしまう人にとって、集中力が持続するように根気をつけたいと思うことは少なくないはずです。この場合には2つの意味があるので、分けて考えなくてはなりません。
根気が強いというのは、数十分から数時間といった一区切りの作業への集中力を表している場合と、数週間から数ヶ月、あるいは何年といった単位で同じことに取り組める性質を現すケースがあります。
たとえば、数分で勉強に飽きてしまった人が1時間以上机に向かっている人を見て、根気が良いというのは前者に該当します。反対に何十年も同じ仕事を続けている人なら後者に当たります。
一般的には後者、つまりある程度長いスパンで物事に取り組める性質が根気の強い人の特徴と表現されることが多いようです。そのため、趣味が長続きしなかったり、会社に定着できずに転職を繰り返す(あるいは退職したまま、次の職が見つからない)人にとって、根気をつけるのは重要な課題となっていることが多く見られます。
根気をつける方法を学びたいと思うのなら、すでにその課題を克服している人をチェックして、自分との違いを明確にすれば無駄に遠回りせずに目的を果たせます。それでは、具体的なポイントを見ていきましょう。
根気の良い人の特徴
生まれつきの性質といった問題もないわけではないにしても、根気が強い人だって最初からそうだったのではありません。知らず知らずのうちに訓練を行い、その結果として獲得しているのです。
たとえば、子供の頃から野球やサッカー等、一つのスポーツに打ち込んでいる子供は珍しくありません。小学校から高校まで同じ競技を続けていれば、よほどの運動音痴でない限り、同年代の人に比べて相当に実力がつくでしょう。たとえば、体育の授業でその競技を行う機会があれば、注目の的になるはずです。
こうした成長過程を実感できる体験を持っていると、物事を続けることの重要性や価値が自然に理解できるようになります。そのため、根気の良いのは長所であり、成功のために欠かせないポイントであると無意識に認識しているのです。
しかも、同じ事をやり続けることによって忍耐力や自信が付いているため、自分は根気よく物事を進められるという自己認識が生まれ、そのイメージが挑戦に対する心理的抵抗を取り除いてくれます。
子供の頃から注意散漫で、同じ事を続けた経験がないとしても心配はありません。大人になってからでも手遅れになるわけではないので、これから根気をつければよいだけです。
ただし、大人になったら無駄なシミュレーションやトレーニングをするよりも、早く結果を出したほうがモチベーションも上がります。そのため、仕事やスキルアップなど、目標となる分野に絞って考えましょう。そこでの成功を得る過程として、根気を強くするのです。
例を挙げると、仕事に役立つ資格を取得するための勉強が挙げられます。ここで注意してほしいのは、勉強に慣れていないのに最初だけ頑張って、すぐに挫折してしまうパターンです。勉強の習慣も根気もないのに、いきなり何時間も机に向かっても続くわけがありません。最初は物足りないくらいに抑えておき、確実に継続することが重要です。
資格を取得したければ、数週間から数ヶ月は勉強を続けることになるでしょう。そこで結果を出せれば自信につながるはずです。仮に不合格だったとしても、勉強する姿勢を貫けたのなら根気をつけるための練習にはなったはずです。
根気とやる気の大きな違い
言葉の問題なので細かいところまで指摘するつもりはありませんが、根気がないことが、やる気の欠如を意味していると誤解されているケースがあります。まるで両者を同一視するような傾向も存在するものの、実はまったく違います。
根気は長く続けることができる性質であり、やる気は走り出すための原動力です。言い換えれば飽きずに一定のことを続けられる性質が根気であり、もっと衝動に近いのがやる気です。
やる気は積極的に前に進むための推進力で、根気は前に進むのを妨げることをしない性質と表現してもよいでしょう。つまり、いくらやる気はあっても、変化を求めたり、飽きっぽい性格であれば方向性が変わってしまい、長続きしません。そのため、特に単調な作業や勉強においては、やる気だけでは長期間に渡って取り組むのが難しいのです。
根気を捨てるべきタイミング
日本においては地道な努力が美徳とされる風潮があるので、簡単に諦めるよりも、同じ事を続けるほうが価値があると思われがちです。仕事を見ても、終身雇用が崩壊して一時期は転職が流行し、新卒の社員が3年以内に辞めることが話題になったりもしたものの、ライブドア事件やリーマンショックをきっかけにして、若者が終身雇用に憧れる傾向を見せるようになりました。
この背景には失業率の悪化やワーキングプアに落ちるのが怖いため、安定を求める心理が働いているため、単純に一つの会社で根気よく勤め上げるのが美徳とみなされているだけではないでしょうが、少なくても社内ではそのような空気が流れていることは少なくありません。
企業の内部において、社員が退職するのを勧める風潮が漂っていないのは当然で、サラリーマンなら少なくても会社にそれなりの忠誠を誓っているような振りをしなくてはなりません。しかし、そこにいて明るい未来がないのなら、根気がないと非難されようと、さっさと辞めてしまうのも重要な決断です。
変化に的確に対応することは、根気よく働くことに比べても決して軽視されるべきではありません。継続そのものを目的にしてしまうと、人生の舵取りを誤りかねないので注意しておきましょう。時には素早く見切りをつけて、新しい道を選ぶべき場面もあります。
根気がないのは直さなくてよい場合も
人間の性格には色々な要素があり、個性も様々です。もしも、あなたが考え付く限りのすべての長所や美徳を兼ね備えようと思えば、パンクしてダメになってしまうか、どれも中途半端になってしまうだけでしょう。
大人になってから根気が求められる場面としては、仕事が大きな比重を占めるでしょう。仕事において自分の価値を上げる、つまり会社からの給料を増やしたり、社外も含めた労働市場における価値を高めるために取得しておきたいスキルや能力は無数にあります。すべてを身につけるのは不可能なので、絞込みが重要です。
つまり、根気をつけるよりも、他の能力を身に付けるほうが戦略的に有利な場合もあるのです。働いている業界によっては、次々に新しい状況に対応して仕事をしなければいけなかったり、単調な労働が許されない場合もあります。
そんな中、根気が強い人間になったところで、大した強みにはならないかもしれません。むしろ、飽きて集中力がなくならないように、次々に新しい動きを作り出して評価される可能性もあります。こうした事実も受け止め、本当に必要な場合のみ、根気をつけることを検討した方が賢明です。