本当の挫折の意味とは
ごく細かな失敗や行き詰った経験なら、誰しも持っているでしょう。しかし、本格的に挫折した経験は持っていない方もいるはずです。一般的には社会に出てから壁に当たることが多いものの、器用な人は上手に問題を解決していくため、社会人になってからも当分は大きな挫折をしないで済むかもしれません。
ただし、まったく挫折を経験することなく生きていくのは困難です。その意味で、上手に対応していく方法を身につけておくのは、人生において有意義なことなのです。
挫折の経験を乗り越えるために念頭に置いてもらいたいのは、誰しも失敗を避けては通れない点です。むしろ失敗から多くを学べれば、最終的には人生を成功に導ける可能性すらあります。逆に言うと、無難な道ばかりを選ぶのがベストとは言えないのです。行き詰ったとしても、それは能力が劣っているためではなく、進歩しようとしているためと捉えてください。
具体的な挫折への対処法としては、過去の失敗よりも今後に集中すること、そして感情を横に置いて第三者の立場から現状を見つめてみることです。深みにはまってしまうのは、しばしば感情が原因になっています。そのため、もしも他人が同じ状況であったら、あなたはどのように思うかを想像してみましょう。
感情を整理するためには紙に書き出してみるのも有効です。この時にはパソコンでまとめるよりも、殴り書きでよいので、ペンを使って紙に直接書いてみましょう。書式も気にせず、思いついたことを図にしてもかまいません。この作業の中で、本当の意味で挫折と呼べるほどの経験なのか、立ち直る方法はないかを冷静に見極めます。
方向性が決まっても、気持ちはまだ後ろ向きな部分が残っていると感じるのなら、その経験とそこから学んだ内容について、他人に話してみると宣言の効果が得られます。相手としては、批判的な人よりも前向きで建設的な感想をくれそうな人を選んでおきましょう。
全体を通して言えるのは、挫折をしても楽観的に捉えること、その経験から教えを学び取ることの2点が重要です。他のアドバイスはこの2つのポイントを補完するものと考えてください。
挫折の経験が人を成長させる
本を読んだり、口頭で他人から教えをもらったところで、なかなか頭に残らないのではないでしょうか。まして、自分の身に付けるのは困難なものです。反対に、自分の経験であれば、感情を伴って記憶されるために残りやすく、挫折のように印象の強いものであれば、今後に活かせる可能性が十分にあります。
そのため、挫折は成長のチャンスになるのです。その反面でコンプレックスやトラウマになってしまう可能性もないわけではありません。単純に辛い経験になってしまうと、将来に傷を残すだけになってしまうのです。
つまり、挫折は成長のチャンスにもなれば、マイナスの結果をもたらすだけの経験になってしまうリスクも含んでいます。避けて通れないものである以上、上手に対処する方法を身につけておくのは大人のたしなみと言えるでしょう。
思うように事が運ばなくても、それを踏み台に出来るかどうか、どのような意味を持たせられるかによって、その後の人生に大きな違いをもたらすことになります。
思春期挫折症候群
小学校の高学年から高校生ぐらいまでを一般に思春期と呼びます。ただでさえ精神的に不安定になりやすいこの時期に挫折を経験すると、それがきっかけになって問題行動を起こすケースがあり、これが思春期挫折症候群と称されるものです。
具体的には抑うつ状態や頭痛、腹痛、無気力、引きこもり、生活態度の乱れ、不登校といった症状が現れやすくなります。成長過程で起きる問題とは言え、思春期挫折症候群は生活を大きく変えてしまうケースもあるので、簡単に距離を置いておけば大丈夫とは言えないのが厄介なところです。
原因としては勉強や部活、恋愛、人間関係(友人や部活等)、怪我、転校、進学といったものがあります。これらが思春期挫折症候群を引き起こすとしても、現実的には避けて通るわけにもいかないため、いかにして乗り越えていくかを考えなくてはなりません。
思春期には自分の意識よりも現実がうまくいかないと感じることが多いものです。ただ、それを乗り越えられるかどうかが問題であり、ここで考慮しておかなくてはならないポイントとして、親が過保護である子供ほど思春期挫折症候群になりやすい傾向の存在です。
子供が自分で問題を解決するのではなく、親に甘えて生きてきたとしても、幼い頃には困らないかもしれません。しかし、思春期になると親の助けだけでは限界がきます。そのため、子供を自立した存在として扱うことは思春期挫折症候群を予防するために重要な方針なのです。干渉しすぎるのは、結果的に子供のためになりません。
禁煙の挫折
多くの方が失敗する挑戦の例の一つとして禁煙があります。最初は簡単に止められそうに感じたものの、結局は元通りになってしまい、すっかり挫折してしまった経験を持つ喫煙者は少なくありません。
単純に精神論で解決しようとしても、肉体との関わりや癖との関連が深いものであるため、禁煙は容易ではないのです。こうした場合には、挫折しないように下準備をしっかり行っておいたほうがよいでしょう。
たとえば、ガムやパッチによってニコチンをしばらくは摂取して肉体的な欲求が緩和されるようにしておけば、禁煙が苦にならないようになります。
昔は禁煙パイプが流行したのに対し、現代ではより本格的になった電子タバコも安くで購入できます。匂いの付いた水蒸気が出てくる上、ライトによって火が点いているように見えるものもあるので、手元や口元が寂しい方の助けになります。
1人では乗り越えられないと思うのなら、病院の禁煙外来に頼る手段もあります。自分だけで静かに挫折してしまうよりも、専門家に相談することで監視してもらい、緊張感を高めることができるため、アドバイスを受けられるだけではなく心理的にもメリットがあります。
人生は挫折と共に
様々な局面で人生には困難が待ち構えています。上手に挫折と付き合い、そこから学んでいければ賢くなっていくでしょう。ただし、むやみに失敗をする必要はありません。予期できるのであれば、あらかじめ対策を立てておくに越したことはありません。
経験を糧にするのを口実にして最初からベストを尽くさないのでは、ただ単に手を抜いているだけです。当然ながら得られる体験も価値が薄いものになるので効果は半減します。
あくまでも全力を尽くした結果の挫折こそが価値のある経験につながるので、その点は誤解しないようにしてください。